コーチングが解決できる問題には、人間関係におけるミスコミュニケーション(誤解)が含まれます。
実はわたしたちは、自分たちで思っている以上に、さまざまなことを経験則による思い込みに従って解決しようとしています。
ですが、そのために、
どうしてわたしはあの人から嫌われているのだろう?
とか、はたまた、
なぜだか、あのひとは苦手
と思って悩んだりもします。
今日は、この思い込みの実態と、それとの向き合い方についてお話したいと思います。
思い込みはどう働く?
まず、下の絵を見てください。
みなさんはこの絵の人を、どんな人物だと思いますか?
モヒカンのような髪型をした、髭を蓄えた笑顔の人、という印象かもしれません。
力が強そうだ、あるいは背が高そうだ、と考えるひともいるでしょう。
顔の印象から、このひとの生き方や人間関係にまで、考えを広げる人もいるかもしれません。
「ザンギエフ」なんて名前を付けるひともいるかもしれませんね(笑)
続いて、下の絵はどうでしょう?
どんな印象でしょうか?
まったくの別人ですね。
ですが、実は一枚目と同一の絵なんです!
上下が逆さまになっただけで、同一人物には思えないぐらい印象が違うんですね。
こちらの絵の人物は、どちらかというと細身の、別の体型のひとのように思われます。
性格まで
違いそうですね。
こういう「だまし絵」は、視覚的印象から生まれる違いについてとても多くのことを教えてくれます。
今回の絵は比較的わかりやすい例だったと思いますが、誰しもが日常生活の中で、自分に固有の視点や認知に従って、物事を理解しているということを、理解していただけるのではないでしょうか。
そして、この思い込みが相互理解の妨げになるのです。
デジタル情報と感情
それではもう一つ、別の例に従って考えてみましょう。
もし身近な誰かがあなたに、少し早口で、
「この仕事お願いね!」
あるいは、
「これやっておいてね!」
と頼んだとします。
みなさんでしたら、どう受け取りますか?
「特に何も感じない」
という人はいるかもしれません。
「急いでいるのかな?」
と、少し疑問に思うぐらいの人もいるかもしれません。
ですが、意外かもしれませんが、このように早口で言われると、怒られているように感じる人がいるんです。
そういう人は心の中で、
どうしてあなたのために、わたしがこんな仕事(用事)をしなければならないんだ!
と反発心を抱きます。
ワクワクすることや、キラキラしたものよりも、じっくり自分なりに物事を味わいたいという人に、この傾向が多いようです。
あるいはそれとは逆に、この言い方で肯定的な印象を持つひともいます。
そういうひとは心の中で、
このひとは自分を信頼してくれている!
と前向きな感情を抱いたりします。
周りのひとに合わせることが得意な人は、こういう言葉から信頼関係を確認することが多いようです。
このように、何気ない日常の中での言葉掛けひとつでも、相手の気質から生まれる思い込みや信念などによって、思いがけず、さまざまな結果が生まれ得るのです。
同じ内容であれば、「この仕事、お願いね」とゆっくり言ってもらえると、
先程のように反発心を抱く人は、
「よし、頑張ろう!」と思うことが多いようです。
また、似たような事例として注意すべきものに、声のトーンがあります。
ここで一つ実験をしてみましょう。
ド・ミ・ソそれぞれの音で、もう一度「この仕事お願いね!」と言ってましょう。
いかがでしょうか?
話していても、印象が違いませんか?
ドのような低い音であれば、相手はおどされているような、嫌な気持ちを抱きやすいです。
ミですと、まだ低いので、相手はその発言の意図をあれこれ考え始めるかもしれません。
ソの音であれば、相手は悪意や誤解なくちゃんと受け取ってくれることが多いです。
とは言っても、ひとは疲れているとついつい声が低くなります。
仕事で頑張ってきて帰宅して、なぜか家族と口喧嘩になることが多い、というひとは、無意識のうちにドのトーンをよく使っているという話があります。
このことも指摘されるまでは、自分ではなかなか気づけないんですよね。
かといって、常にソの音を出そうと思っても難しいので、大切なことを伝える際には特に声のトーンと速さに気をつけることを意識してみてください。
これだけでも、日常生活の
多くの問題を回避することができます。
言葉の字面(デジタル)にしっかりと感情を乗せるということが、重要になってきます。
まとめ
わたしたちは見るものや、耳にするものから相手のことを理解しようとします。
ですが、それは各自の考えにしたがって解釈されるので、その過程で歪んでしまったり、省略されてしまったりすることが多いです。
自分が言葉で何かを伝える際、あるいは受け取る際には、自分の思い込みが働いていないか注意しておくことが重要です。
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