サポート、あるいは対人支援には色々な種類があります。
そしてそれらが目指す最終的な目標は、少しずつ異なっています。
コーチングが目指す最終的な目標とは何でしょうか?
また、それを達成する時、ひとはどのようなあり方にあるのでしょうか?
今回は以前の記事を補足する形で、その他の対人支援の方法と比較することで、コーチングにおけるステートの役割についてもお話したいと思います。
ガイディングとティーチング
まず、ガイディングというものがあります。
名前からもわかる通り、誰かをある場所まで導く(ガイドする)役割を果たす手法です。
こちらは、観光地や登山のガイドさんや、マラソンのペースメーカーの果たす役割をイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。
観光地のガイドさんは、観光スポットまでの案内をしたり、その土地に関連する専門的な情報を披露してくれます。
登山のガイドさんも、目的とする山頂や到達目標地までの道程を教えてくれ、その過程において発生するであろう問題の解決策も提示してくれます。
マラソンのペースメーカーであれば、ゴール(実際にはその途中までですが)までの道筋を示しながら、目標とするタイムでゴールラインを切れるようにランナーたちを引っ張ります。
これらの職業に代表されるガイディングというのは、対人支援においても目標に向けた行動を起こす支援を目指します。
その意味では、目標達成のための機会を用意することと言えるでしょう。
誰かの置かれている環境の整備を果たし、目標を実現するということです。
また、別の手法として、ティーチングというものがあります。
ティーチングは縦の関係を基本とした、知識や技術を伝えるための方法です。
学校での教育がその最たるものでしょう。
教える側と教わる側の役割がはっきりしているものです。
こちらは別の記事にも詳しく書きましたので、そちらも参照してください。
コーチングとは
最後に、コーチングがあります。
コーチングの果たす役割も多岐に渡ります。
コーチは相手との協働関係、つまり横のつながりを重要視します。
問題を解決する主体は、あくまでもクライアントさんご本人だからです。
なので、コーチはまずクライアントさんのアイデンティティの確立にそっと手を携えます。
それから価値観をあらためて明確にし、最終的に自己決定した行動を後ろからサポートします。
言い換えると、コーチの果たす役割は自分なりの役割や使命の確認であり、動機づけのお手伝いであり、はたまた積極性を育むことの支援でもある、ということです。
ステートとは
目標達成の際に、そのひとのステート(状態)はとても重要な要素になります。
心身が否定的な状態にあっては、物事をうまく解決することができません。
NLPと呼ばれる心理療法、および能力開発のための手法を採用するロバート・ディルツ博士は、その状態をクラッシュ・ステートと呼び、以下の通りに定義しています。
- C – Contraction(収縮)
- R – Reactive(受身)
- A – Analysis(分析)
- S – Separation(分離)
- H – Hurting/Hating/Hitting(痛み/嫌悪/攻撃)
背中が丸まって胸が閉じ、姿勢が悪くなっていると、思考は悪化します。
物事に対して受動的になり、批判的になりやすくなるだけではありません。
心身のバランスが崩れやすくなり、自己管理が難しくなります。
そんな状態の時には、他人に対する嫌悪感も強まり、不安に対処するために攻撃的な手段を選ぶ傾向があります。
それとは対極的な状態が、COACHステートと呼ばれる、理想的な状態です。
- C – Center(中心)
- O – Open(解放)
- A – Aware(気づき)
- C – Connect(つながり)
- H – Hold(保持)
自分の軸(理想的な位置にある重心と言っていいかもしれません)を感じ、思い込みを持たず、気づきを得、心身と周囲の環境とのつながりを感じ取り、その状態を保ち続ける、というあり方です。
このこと自体はなかなか難しいとは思うのですが、物事がうまくいく時の自分の状態をイメージしてもらえるといいかと思います。
コーチ自身がこのステートにある状態で、クライアントさんにも理想的なあり方を獲得してもらう、というのが目的にあります。
まとめ
このように、サポートを必要とするひとが、どのような支援を必要とするかによって、支援の方法はいろいろと変わります。
ぜひいまの自分に必要な手法を適切に選び取って、目的を達成してみてください。
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