言葉は、ひとやものについて語るための道具です。
その際に英語は、
名詞を中心にしたかたまりと、
動詞を中心にしたかたまりを作り上げます。
今回は中学英語をうまく理解するために、
文中の動かないもの=名詞を中心にしたかたまりと、
動くもの=動詞を中心にしたかたまりを見つける方法についてお話します。
名詞と動詞の性質
少し脱線するように思われますが、
動かないもの=名詞を中心にしたかたまりと、
動くもの=動詞を中心にしたかたまりは、
動名詞とto 不定詞の使い分けを知っておくとよくわかります。
中学生の教科書で、この二つの文法事項は勉強することになっていますね。
なかなか使い分けるのが難しい両者ですが、
実はその違いをしっかり知っておくと、
英語の理解も進みます。
さて、動名詞とto 不定詞ですが、
それぞれ事実志向的と、未来志向的とも言われます。
どういうことでしょうか。
例文で確認してみましょう。
A. I like jogging.(ジョギングが好きです。)
B. I’d like to jog this afternoon.(今日の午後ジョギングがしたい。)
likeは目的語として動名詞もto 不定詞も取ることができます。
それぞれの特徴は次のとおりです。
A. の方は、「ジョギング」と出来事、あるいは事実。
B. の方は、これからジョギングがしたい、という未来のこと。
動名詞は「今後のこと」は言い表せないので、
B.をI’d like jogging this afternoon.とは書き換えられません
この点を理解するために、
もうひとつ別の組み合わせを見ておきましょう。
A. I still remember buying my first car.(わたしはいまでも初めて車を買ったときのことを覚えている。)
B. You must remember to lock the door.(忘れずにドアに鍵をかけてきてほしい。)
A.は車を買った時という過去の出来事について、
B.はこれから鍵をかけることについて述べています。
先ほどの例に従って考えれば、
A.は事実的、B.は未来的ということになりますね。
もちろん、to 不定詞には名詞用法もありますので、
厳密に動名詞の役割と区別することはできません。
ですが、これらの例文が指し示していることは、
- 名詞としての側面の強い動名詞は、事実や過去といった動かないものを指示する
- 動作を指し示すto 不定詞は、不確定なもの=動くものを指示する
ことがあるということです。
これらを発展させ、ここではひとまず以下の通りに定義してみましょう。
英文を理解する際には、まずこれら2つの品詞を念頭に置いておくことが重要になります。
現在地の旗とコンパスを手に入れよう
名詞(のかたまり)は、しばしば主語(〜は、〜が)になります。
I like jogging.のIがそうでしたね。
主語とは文の話題と理解しておくといいと思います。
また、一般的に、
動詞(のかたまり)は、主語について述べたもの=述語を作ります。
先ほどの文でいうとlikeですね。
つまり、I like jogging.は、
Iという主語=文の話題について、
like=好きであるものが何なのかを説明しているという文
ということになります。
そのため、主語(I)は話の出発点を、述語(like)=動詞は方角を示します。
言い換えれば、現在地を示す旗と、方角を示すコンパスです。
さらに、いくつもの文(=主語+述語から成るもの)から成る文章全体は、
さながら地図のように広がっていきます。
情報の流れをうまく読み取ることで、文章の主題という目的地まで辿り着くことができます。
『不思議の国のアリス』だって読める
少し難しいですが、この点をしっかり理解していれば、『不思議の国のアリス』の冒頭部も読めます。(赤字が主語、青字が述語です。)
🇬🇧Alice 🧭was beginning to get very tired of sitting by her sister on the bank, and of having nothing to do: once or twice 🇬🇧she (=Alice) 🧭had peeped into the book 🇬🇧her sister 🧭was reading, but 🇬🇧it (the book) 🧭had no pictures or conversations in it, “and 🇬🇧what 🧭is the use of a book,” 🧭thought 🇬🇧Alice “without pictures or conversations?”
アリスは川辺でお姉さんのとなりに座っていて、何もすることがなかったのであきあきし始めていました。一、二度、お姉さんが読んでいる本をのぞいてみましたが、さし絵もなければ会話もなかったので、アリスは「絵もおしゃべりもない本なんて、何の役に立つのかしら」と思いました。
引用した文章は、物語の冒頭部です。
アリスが川辺で退屈しているところに、
かの有名な白うさぎが登場し…。
といった具合に、物語が展開していきます。
改めて言いますと、
主語はそれぞれ文の出発点となり、
動詞がそこから話が進んでいく方向性を示します。
文は主語を変えながら、リレー形式で前の話題を引き継ぎ、
展開していきます。
やがて主題という目的地にまで辿りつきます。
動かないものと動くもののペアを発見できるようになると、
どんな文章でも読めるようになるでしょう。
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